SB TEMPUSが8月1日に本格稼働開始

企業情報

株式会社SB TEMPUS

  • 新薬の研究開発などに取り組む製薬企業を対象に、患者データを構造化・非識別化した医療データセットへのアクセスの提供を開始
  • 遺伝子検査の臨床研究に向けて、国内の医療機関と連携を開始
  • 患者一人ひとりに適した、より個別化されたがん治療の提供を支援

ソフトバンクグループ株式会社と Tempus AI, Inc.(以下「Tempus」)の合弁会社である株式会社 SB TEMPUS(代表取締役 社長兼 CEO:北原 秀文、代表取締役:Ryan Fukushima、以下「SB TEMPUS」)は、2024年8月1日より本格稼働を開始しました。まずは、新薬の研究開発などを行う製薬企業を対象に、分子・臨床・病理・医療画像などの分断された患者データを構造化・非識別化した医療データセットへのアクセスの提供を開始します。また、遺伝子検査の臨床研究に向けて、国内の医療機関と連携を開始します。

データ解析サービス(一部のみ)
製薬企業を対象に、Tempus がこれまでに米国内の約 2,000の医療機関と連携し、蓄積した 770万件のがんデータを構造化・非識別化した医療データセットへのアクセスを可能にするサービスを提供します。このデータセットには、患者に関連する 4 種類の医療データ(分子・臨床・病理・画像)が連携されており、製薬企業による新薬創出の早期化・成功率向上と創薬後の有効性・安全性の評価を支援します。
また SB TEMPUS は、国内の医療機関と連携することで、分断された患者データを標準化、構造化し、整形した上で提供元の医療機関へお返しするサービスの導入を目指します。本サービスにより、医師は臨床データを収集・整形・入力する手間を省き、必要な臨床データをタイムリーに参照できるようにし、臨床研究の準備にかかる時間の短縮を支援します。
医療機関への本サービスの導入に向けて、SB TEMPUS は、Tempus が米国の各病院に展開している、分断された医療データを標準化・構造化するための「アダプター」の日本での開発に着手します。まずは、がんゲノム医療の中核を担う拠点病院などと導入に向けた具体的な検討を開始し、順次サービスを展開していきます。
データ解析サービスの詳細はこちらをご参照ください。
https://www.sbtempus.com/services/data-collaborations/

遺伝子検査
Tempus が米国で展開する遺伝子検査のうち、がん組織から抽出した遺伝子と正常な遺伝子を比較する「がんプロファイリング検査(DNA:xT、RNA:xR)」と、血液検体のみを用いて遺伝子変異の有無や変異した遺伝子の種類を調べる「リキッドバイオプシー(xF)」、がん治療後の患者を対象に残存しているがん細胞を検出する「MRD検査(xM)」について、遺伝子検査の臨床研究に向けて国内の医療機関と連携を開始します。
これらの遺伝子検査では、より多角的な情報に基づいて患者一人ひとりのがんの特性を分かるようにし、医師による治療方針の決定を支援します。
遺伝子検査の国内での提供に向けて、SB TEMPUS は、医薬品医療機器総合機構(「PMDA」)への承認申請の準備に着手します。
SB TEMPUS は、分断された医療データの統合や構造化を通じて、日本人患者の医療データの集積を図るとともに、Tempus が米国で展開しているその他のサービスについても順次国内での提供を開始する予定です。SB TEMPUS は、医療データと AI を活用することで、患者一人ひとりに適した治療方法の提供や新しい治療方法・新薬創出を支援し、日本の医療界と緊密に連携しながら、医療の飛躍的な進歩に貢献していきます。
SB TEMPUS の本格稼働開始にあたり、6 月 27 日に開催した記者会見のパネルディスカッションにご登壇いただいた医療機関よりコメントをいただきました。

がん研有明病院 病院長 佐野 武先生のコメント
「人類は長い間がんと闘ってきましたが、今世紀に入ってがんの本態解明と治療開発がこれまでとは別次元のスピードで進み、さらに加速しようとしています。その根幹を成すのががんゲノム医療であり、膨大なデータ処理とその利活用を AI が支えます。今こそわが国の産学官が強い志と絆をもって、がんゲノム医療とそのデータ利活用に取り組むべきだと考えています。」

慶應義塾大学医学部 がんゲノム医療センター教授 西原 広史先生のコメント
「今後のがん医療は、従来の経験則に基づく Evidence based medicine から、Scientific evidence に基づく Personalized medicine へと移行することが想定されます。階層化データベースと AI の組み合わせにより豊富で良質な診療情報を多面的に瞬時に解析するという御社の取り組みは、まさに時代の先端を行くものです。個人情報保護やデータセキュリティーの問題など、解決すべき課題は山積していますが、産官学が一体となって取り組むことでこのプロジェクトを成功させられると期待しています。」

東京大学大学院 医学系研究科統合ゲノム学分野 教授/東京大学医学部付属病院 ゲノム診療部 部長 織田 克利先生のコメント
「現在、がんゲノム医療を一人でも多くのがん患者さんに適切な形で届けられるよう、多くの医療従事者が日々診療業務にあたっています。メディカル AGI・ASI の導入により、こうした専門性を伴う日常業務が各段に効率化されることを期待しています。臨床・画像・ゲノム情報などの統合的な解析が容易になることで、学術的な研究や薬剤開発がわが国で一層充実することを願っています。」

九州大学大学院医学研究院 社会環境医学講座 連携腫瘍学分野 教授 馬場 英司先生のコメント
「がんの診療は、診察結果や遺伝子解析を含む様々な検査データに基づいて行われます。また、新たながん診断法や治療法の開発は、これらのデータを蓄積し解析することから始まります。しかし、膨大なデータを整理し活用するには、日々の継続的な作業が必要です。データ連携サービスがこれらの過程を効率化することで、より良いがん医療とがん研究が進むことが期待されます。」

名古屋大学医学部附属病院 化学療法部 教授・部長 安藤 雄一先生のコメント
「さまざまな臨床データを自動で統合・構造化できれば、がんの臨床研究は飛躍的に進展するでしょう。これまで人間の頭脳では実現できなかったことも、AI なら実現できる可能性があります。SB TEMPUS には、そのようなサービスの提供を期待しています。」

京都大学大学院医学研究科 腫瘍内科学講座 教授/京都大学医学部附属病院 がんセンター長 武藤 学先生のコメント
「がんゲノム医療は、最適な治療を適切なタイミングで提供するためにできた医療政策です。しかし、わが国では、現在、必ずしも全ての患者さんががんゲノム医療を受けることができるわけではなく、医療者としても歯がゆい思いをすることが多くあります。この実情の改善に SB TEMPUS が精力的に活動されていくことを大変心強く思っております。さらに、日々の診療で得られるがんゲノム情報に加え、電子カルテに格納されている患者さんの診療情報をデータベース化し、それを医療の質の改善、未来の医療開発に活用する SB TEMPUS の取り組みは、まさに多様な臨床経過をたどる患者さんひとりひとりのデータを活用し精密医療の実現に資する画期的なものと言えます。このような取り組みは世界中で広がっていますが、デジタル化、DX化が遅れているわが国においてはなかなか実現できませんでした。この分野に風穴を開け、革新的な取り組みで国民健康の向上に資する成果が出ることを期待しております。一方、患者さんの機微な情報を取り扱うため、個人情報の保護はもちろんセキュリティの面で最大限の対策をし、市民・患者さんの理解を得ながら進める必要があります。その意味でも新しい時代の幕開けと思いますので、医療の革命に繋がることを願っています。」

SB TEMPUS について
SB TEMPUS は、AI と精密医療のリーディングカンパニーである Tempus AI, Inc.が米国で蓄積した知見や技術を応用した個別化医療を支援するサービスを日本で提供することを目的に、ソフトバンクグループ株式会社と Tempus の合弁会社として設立されました。SB TEMPUS は、医療データと AI に基づく診断と治療の推進によって、日本の医療界と緊密に連携しながら、医療の飛躍的な進歩に貢献していきます。

社名 株式会社 SB TEMPUS(英社名:SB TEMPUS Corp.)
役員一覧 北原 秀文(代表取締役 社長兼 CEO)
Ryan Fukushima(代表取締役)
柴山 和久(取締役 CDO)
Andy Polovin(取締役)
Jim Rogers(取締役)
筒井 多圭志(取締役 Chief Scientist)
所在地 東京都港区海岸 1-7-1 東京ポートシティ竹芝オフィスタワー
資本金 300 億円(資本準備金を含む)
事業内容 遺伝子検査、医療データ収集・解析、AIによる治療レコメンド(予定)
出資比率 ソフトバンクグループ株式会社 50%、Tempus AI, Inc. 50%(共同支配企業)
URL https://www.sbtempus.com/